水稲育苗のポイント
床 土
床土の準備
腐植にとみ通気性のよい土を選び、4~5ミリのふるいでおろす。
不適当な土はもみがら、くんたん等を加えて改良する。
床土のPHは4.5~5.5とする。
1箱当たり4~5リットル必要。
販売床土は信用のあるものを使用する。
消毒と施肥
床土に農薬を施用して病害虫を防除する。
肥料は箱当たりチッソ、リンサン、カリを各1~2グラム混和する。
中苗の育苗では、追肥重点施肥をする。
PH1.0下げるに要する薬剤量
土性 |
硫黄粉末 |
濃硫酸 |
泥炭土 | 240グラム | 700ミリリットル |
埴土 | 80グラム | 240ミリリットル |
壌土 | 70グラム | 200ミリリットル |
砂土 | 55グラム | 160ミリリットル |
※硫黄粉末は播種の1か月前に均一に混合する。土100キログラム当たり
種もみ
選別
発芽のよい種もみを選び、芒や桔梗をきれいに除去する。
塩水選で充実した健全な種子を選ぶ。
塩水選後の種もみは、よく水洗いする。
比重液のつくり方
消毒
薬液が、もみ全体によく浸透するようにする(薬液量は、もみと等量)
芽を切った種もみの消毒は、薬害があるので注意する。
消毒液の音頭は10℃以下を避ける。
薬液の処分は十分注意する。
消毒後の種もみは水洗いせず、軽く乾かしてから浸種又は催芽する。
浸 種
10~15℃でゆっくり吸水させる(積算温度100℃)
十分に吸水すると、胚の部分がすいて見えてくる。
消毒後、浸種の場合は過度な水の交換はしない。
水温が高い場合は、積算温度100℃以下でも発芽する場合があるので注意する。
催 芽
催芽器などで30℃、1昼夜催芽する。
催芽の程度は、幼芽が1ミリ位が適当である。
催芽の程度
播 種
床土入れ
床土を、2センチ位の厚さに均平に入れる。
育苗箱の底に「ねはりシート」を敷くと根の張りが良くなり、田植作業が安心して出来る。
潅水
底まで水が、染みわたるよう潅水する。
箱当たり800~1000ミリリットル(床土による)
寒冷時には温水(35~40℃)を用いると良い。
覆土後は潅水しない。
1箱当たりの土の量
稚苗用
|
4.3リットル(床土厚さ2センチ、3.3リットル、覆土1リットル) |
中苗用
|
4.8リットル (床土厚さ2.3センチ、3.8リットル、覆土1リットル) |
※土は約4分の1を覆土用として残しておく。
潅水の適量の決め方
播種
均一に、ムラ無く、播く。
種もみは、脱水後、もみがかなり白くなる程度に陰干しして播く。
(催芽もみの色が乾もみに近い色になっても出芽率や生育は変わらない)
播種機(K-6T、K-60WT、SF261シリーズ)を使用すると、簡単にムラ無く播ける。
覆土
肥料を混ぜない土を種もみが隠れる程度に覆土する。
播種機(K-6T、K-60WT、SF261シリーズ)を使用すると、簡単にムラ無く覆土できる。
出 芽
育苗器に搬入
電源はコンセントからとり、必ずアースする。
搬入前に、育苗器の温度をテストしておく(30℃)
育苗器は、直射日光を避け、風当たりが少なく、水はけの良いところに
設置する。
育苗箱は、水のしたたりが切れてから搬入する。
積重ね育苗では、積重ねた時、空気や水蒸気の出入りが自由にできる、
すき間が十分ある育苗箱を使用する。
出芽
育苗器内は適温(30℃±2℃)に維持する。
保温カバーの裾は、木片などで押さえる。
高温では障害が起こりやすいので注意する。
出芽長は1センチ以内とする。
緑 化
取出し
芽の長さが1センチ位に伸びた時、育苗器から出して緑化床に移す。
取出し後、目の細かいジョロでぬるま湯をかけ、覆土のもち上がりを落とす。
種もみが見えていたら、隠れる程度に覆土する。
病害虫が発生したら、ただちに防除する。
緑化
日中は20~25℃、夜間は10~15℃に保温する。
寒冷紗等で被覆した弱光下で、1日ならし緑化する。
適正な水分の保持につとめる。
硬 化
硬化
日中は15~22℃、夜間は10~15℃に保温する。
潅水に注意して過湿、過乾にしない。
移植の準備
適期に移植する。
苗運搬中に、水分不足で萎調しないよう注意する。
移植の遅れる場合は、潅水制限、断値、剪葉、窒素追肥等によって
生長抑制や苗質の劣化を防止する。
標準苗の大きさ |
|||
|
草丈(センチ) | 本葉数(枚) |
地上部乾物量 (ミリグラム/1本) |
稚苗 |
12~15 | 2.0~2.5 | 12以上 |
中苗 | 15~20 | 3.5~4.5 |
20~30 |
育苗のめやす | |||
|
播種量(グラム/箱) |
箱数(個/10a) | 育苗日数(日) |
稚苗 | 160~200 | 16~20 | 15~20 |
中苗 | 100~140 | 25~35 | 30~35 |
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